「わからない」から始まる対話。

「私にあなたのことはわからない」
この前提に立って対話を始めることが大切だなぁと思う。

先日、ある女の子へのインタビューにて。
彼女の生い立ちから今に至るまでの話を聞く中で、彼女はこう言った。
「日々の生活を丁寧に生きたい」

「日々の生活を丁寧に」というのは、私の生活のテーマでもある。
「それわかるなぁ」とその場で私は言った。
なので、その言葉については、インタビューではあまり深追いはしなかった。

しかし、インタビューのテープ起こしをしていて、ふと思った。
彼女は何でそう思ったんだろう?

彼女の生い立ちや性格から、その結論に至ることは予測がつくが、それはあくまで予測でしかない。

「日々の生活を丁寧に」という、最終的に行き着いた言葉は同じでも、そこに至るまでのプロセスや、そもそもその言葉の意味合いというのは、人それぞれ違う。
ある人は、激務で身体を壊した末にそこに気づいたのかもしれないし、ある人は、ランニング等日々の地道な取り組みから、そう思うのかもしれない。
また「日々の生活を丁寧に」という言葉の意味合いも、「毎日自炊をすること」を丁寧とする人もいれば、「Yシャツにアイロンを丁寧にかけること」を丁寧とする人もいる。

彼女がそこに行き着いたプロセスや、彼女なりのその言葉の定義は、彼女にしかわからない。
私はそのストーリーを、インタビューで聞くべきだったのだ。

根底にある想いや価値観が似通った人と話していると、あたかもその人のことを理解したように思い込みがちである。
しかし、他人を100%理解することなんてできない。

「あなたのことはわからない。」この前提から対話を始めることが大事。
「わからない。でも、だからこそ、知りたい」この好奇心を大切にして、今後いろんな人にインタビューをしていきたいなぁと思う。